公開日:2017年9月19日

私はチョムスキーの生成文法を専門としていますが、1992年以降、チョムスキーが提唱した考え方に「最小主義理論」(minimalism)というのがあります。これは、単純化して述べると、「言葉の仕組みは、数戸の単純な原理で説明でき、その原理の中の原理ともいうべき、根本的原理は「経済性(economy)」です。

これは、最も簡単に言えば、「言葉は単純であろうとする力が働く」ということです。これはある意味、あたりまえかもしれません。例えば、誰もある文を生み出すのに複雑なものは好まないということがありますね。

(1) ?I want to try to plan to decide to promise to do itl.

(?私はそれをする約束をすることを心に決める計画をする試みをしたい)

(2) ??The fact that the book he is sure is sure is sure is sure.

(??彼が確実なものだと確信する本は確かであるという事実は確かである)

(3) *I made him have her let them see us hear you play the piano.

(*私は彼に彼女に彼らに我々にあなたがピアノを弾くのを聞くのを見てもらうことをさせるようにさせた)

(1)~(3)は全て、文法の視点からは文法規則の連続適用を行っているだけなので、文法的なのであるが、現実には、これらは容認されにくいでしょう。特に(3)は日本語にしたらわけが分からないですね。

つまり、英文を作成するには、色々な「規則」があります(疑問文にする規則、関係詞節を作る規則・・・)が、それらの規則を規制する、いわば「規則の規則」というようなものがあります。これを「原理」と呼びます。その原理の代表格が経済性に他なりません。

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