公開日:2017年10月1日

英語では長い言葉はあまりありません。有名な最長語に次のようなものがある程度です。

pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis

これを分析すれば、次のようになります。

pneumono / ultra / micro / scopic / silico / volcano / coniosis

肺    超   微   視    珪素  火山   症

注:珪素は「けいそ」と読み、土の主な成分SiO2(二酸化珪素)

だから直訳すると「肺超微視珪素火山症」で、意味は「火山から出た非常に小さく見える珪素の粒(=火山灰)が肺に入った病気」で、通例、「塵肺」と呼ばれます。

さて、日本語の世界では、特に伝統文化分野では色々とややこしい言葉がたくさんあります。今日は、仏教の分野で、私が最近興味のある言葉を紹介します。

それは、「理趣経」の正式名称で、「大楽金剛不空真実三昧耶経般若波羅蜜多理趣品」(たいらく・こんごう・ふくう・しんじつ・さんまや・きょう・はんにゃ・はらみた・りしゅ・ほん)です。これは、空海に弟子入りした最澄が、空海に貸して欲しいと言って断られた経典として有名です。

この名称の1つ1つに意味があります。

・「大楽」=普通の楽(pleasure)ではなく本物の[=永遠の]楽[=genuine pleasure]

・「金剛」=ダイヤモンド(=金剛)のように堅く強いこと[=strong]

・「不空」=空(むな)しからず、ということで確実であることを示す[=sure]

・「真実」=真の意味で正しいということ[=true]

・「三昧耶」=仏と一体となった悟りの状態[=enlightenment]

・「経」=釈迦の説いた教えを記録した聖典[=sutra]

・「般若」=最高の智恵を表す[=supreme wisdom]

・「波羅蜜多」=実践徳目を表す[=sacred virtue]

・「理趣」=正しい道筋を表す[=right way]

・「品」=経典の中の1章[=chapter]

従って、この経典を英語で全ての意味を表記する形で翻訳したら、次のようになります。

the chapter of the right way towards the sacred virtue of supreme wisdom in the sutra for genuine pleasure-inducing, strong and sure, true enlightenment

ところで、教育の「育」は「云」と「月」から成っています。「云」は赤ん坊が生まれるところ、「ム」の部分が赤ん坊の頭を表していると言います。ということは、逆子ではないので「正確さ」ということを表しています。一方、「月」は肉付きを意味し、「強さ」を意味しています。この「正確さ」と「強さ」は、子供を育てることだけでなく、人生全般に重要ですね。

「不空」「真実」の意味は、それぞれ「確」と「正」なので、合わせて「正確さ」すなわち、「育」の「云」の部分、「金剛」は、「強さ」を表すので、「月」の部分に相当します。

また、「正」という漢字は、「止め偏」です。つまり、「一」と「止」から成っています。「一」は目標または結果を表し「止」は地に足をしっかりつけていることを意味します。地に足をしっかりつけて目標を見据えているということが、人生における正しさであると言えます。「止」は、足をしっかり地につけて歩くことも意味します。しっかりと足を地につけて歩く場合でも、単に惜しみなく努力をするだけでなく、正しく目標に向けて歩かないと「一」に届きません。つまり、努力の量[=中身](しっかり努力すること)と努力の質[=方法論](正しい方向に努力すること)の2つが重要だということです。

「止」が暗示する努力の量は「般若波羅蜜多」の修行で、努力の質は「理趣」(=正しい道筋)に対応します。そして「一」の目標は、仏教的には「三昧耶」(仏と一体になること)となります。そして最終的に、結果として「大楽」を導きます。

結論として、「理趣経」は、<育>と<正>が教える重要なコンセプトで、その名称が出来上がっていることになります。

大楽 金剛 不空真実 三昧耶 経 般若波羅蜜多 理趣 品

一    月     云     一       止     止

結果 強さ      正確さ         目標               努力の量    努力の質

 

この記事の著者

englight
記事一覧