公開日:2017年10月18日

今回は第4章を紹介します。いよいよ5つの母音を含むいろいろな言葉が現れます。

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4.五母音語と五母音句および五母音文

私は、21世紀の世界をより良いものにするためのキーワードとして、3E’sというもの[→(9)参照]を提唱している。

(9) a. economy(経済)

  1. environment(環境)
  2. education(教育)

経済は発展しなければならないが、同時に、環境は守らなければならない、そして教育は充実させる必要があるとの指摘である。

この中でも、近年、特に教育の重要性を感じているのは私だけではないと察するが、この「教育」を表す英語educationに、1つずつ母音字が入っている。1単語内に五母音がすべて揃っている単語を「五母音語」と呼ぶ。

 

4.1.  完全五母音語

五母音が1つずつ入っている単語を「完全五母音語」と呼ぶと、educationは完全五母音語である。

私はeducationに関わる仕事をしているが、中でも、英語コミュニケーション能力の向上を目的とした教育が中心で、いわばhow to communicate in Englishが教育の中身である。ここで出てきた動詞communicateもまた、完全五母音語となっている。

ここで、英語における完全五母音語には、他にどんなものがあるか、紹介しておく。

(10) authorize, voluntariness, ultraviolet, unorganized, unordained …

authorizeやultravioletは力強さを暗示し、voluntarinessやunorganized(組織されない)、unordained(権威者により設立されない)などは、自由度を暗示する。これまでに挙げたeducationやcommunicateを合わせて、総合して判断すると、完全五母音語は、重要なコンセプトやダイナミックで力強く、自由でのびのびしたイメージを持つのではないかと思われる。

unmentionable(あまりにひどいので口に出すべきではない)とかtaeshinobu(「耐え忍ぶ」という日本語)などは、控えめにすることを教えるような道徳的側面を意味する単語である。

特に、「耐え忍ぶ」はAEIOUという英語のアルファベット順に母音が現れる珍しい完全五母音語である。

英語で、最も短い完全五母音語は、sequoiaである。sとq以外は全て母音で、しかも五母音1つずつが使用されている。sequoiaは「セコイア(=米国カリフォルニア産のスギ科の巨木)」である。

 

4.2.  日本語の五母音語

日本語の五母音語にどんなものがあるか、「耐え忍ぶ」以外を紹介しよう。

(11) a. 急がせる、多目的、因縁果報、英語学 …

  1. アマテラスオオミカミ、オンアビラウンケン

(11a)は、完全五母音語、(11b)は通常の五母音語(五母音が入っているが1つずつではない)である。

私は、メールアドレスのアカウント名にenglightを用いているが、これは<English+enlightenment(英語の悟り)>という表現を短縮した造語(日本語訳は「英悟」[えいご])である。この日本語読みは、「エングライト」なので、ローマ字化するとENGURAITOで、完全五母音語となっている。

 

4.3.  完全五母音句

私は、英語学を専門としているが、これを簡単な英語で示しても五母音が現れる。

(12) 英語学(eigogaku) → A Study on English

しかも、この句(a study on English)は、1つずつ五母音字が入っている。五母音が入って句を形成したものを「五母音句」と呼んでいるが、この句は、「完全五母音句」(五母音が1ずつ入ってできた句)の例である。英語と日本語が完全五母音で一致する極めて珍しい例である。

 

4.4.  宗教と五母音語

(11b)を見れば分かるが、宗教的に重要なアイテムが、また、五母音語の中に存在することが興味深い。アマテラスオオミカミは、日本神話上、三貴子(みはしらのうずのみこ)の中でも一番重要とされる神である。

また、「おんあびらうんけん」は真言宗における根本的な真言で、真言宗をはじめとする密教における最高の仏である大日如来に唱える呪文である。

どのように五母音が使用されているかを現れた順に示すことを「五母音列」と呼ぶ。(11b)の五母音列を示しておく。五母音列は、大文字で五母音を順番に表記する形式をとる。

(13) a. アマテラスオオミカミ(AAEAUOIAI)

  1. オンアビラウンケン(OAIAUE)

 

4.5.  固有名詞と五母音語

完全五母音語でない五母音語でも、かなり見つけるのは苦労するのであるが、人名や地名・商品名(ドリンク)・会社名など固有名詞の例を挙げてみよう。五母音列も添えておく。

(14) a. 徳川家康(OUAAIEAU)、山口百恵(AAUIOOE)、井上大佑(IOUEAIUE)

  1. 上本町(UEOAI)、the United States of America(EUIEAEOAEIA)
  2. ポカリスエット(OAIUEO)、はちみつレモン(AIIUEO)
  3. JR東海(EIAUOAI)、ワシントンホテル(AIOOEU)

e. 通訳ガイド研究会(UAUAIOEUAI)、言語文化学会(EOUAAAI)

(14a)の井上大佑氏はカラオケの発明者で、2004年にイグノーベル平和賞を受賞している。受賞理由は「カラオケを発明し、人々が互いに寛容になる新しい手段を提供した」という業績である。

(14b)の上本町は大阪府の近鉄線の駅で、完全五母音語になっている。アメリカ合衆国の英語の正式名称は、E4つ、A3つ、I2つ、そしてUとOが1つずつという形である。ちなみに、国連もthe United Nations(EUIEAIO)で五母音語となっている。

(14c)の「ポカリスエット」は、最初のOを除けば「アイウエオ」順に、また、「はちみつレモン」は、Iは重なるものの「アイウエオ」順になっているので、どちらも極めて珍しい。

(14d)のような企業名などにも五母音語がある。JR東海は、JRだけで4母音(EIAU)を含み、最初に五母音が並ぶ。

(14e)は、共に私が設立した組織であるが、特に、前者は、その名称の母音表記の3文字目以降から6文字目以降のどれをとっても、そこから5文字が全て五母音となる珍しいパターンである。

「五母音語人」(五母音を含む名前を持つ人)には成功者が多いように思われるが、これは成功者に五母音人が多いということではない。この関係は、痴漢のほとんどが男性であるが、ほとんどの男性は痴漢ではない事実に似ているのかもしれない。

「愛宇江男」(あいうえお)や「垣九気子」(かきくけこ)という名前の人がいると面白いと思うがそう簡単にはいかない。「さしすせそ」以降は、名前らしくはならない。ちなみに、ピン芸人で「かきくけこ」という人物が存在することを付記しておく。

長崎県佐世保市に「らりるれろ」というハンバーガー店がある。また、千葉県市川市に「はひふへ本光寺」というニックネームの日蓮宗の寺院、本光寺がある。

更に、会話に困ったときに「たちつてとなかにはいれ」というまじないがあることも覚えておくと便利であろう。注2

 

4.6.  五母音文

句のレベルになると五母音が揃う確率は高くなり、文のレベルでは、五母音は簡単に揃う。五母音が揃う可能性は、当然ながら、次のようになるものと思われる。

(15) 五母音表現化傾向

五母音語<五母音句<五母音文

しかしながら、完全五母音表現となると、文でも発見がかなり困難になる。

(16) a. 本日は晴天なり。⇒ OIUAEIEAI

  1. 上青い。⇒UEAOI

(16a)のマイクのテストによく用いる「本日は晴天なり。」という表現は、五母音文であるが、最初に五母音が揃う。母音全ての発音の聞こえ方をチェックすることができるようにということであろうが、アナウンスする人の発音も確認できる優れた文であろう。しかし(16a)は完全五母音文(=五母音が1つずつ入って完成した文)ではない。

(16b)は、例えば、数ある三色旗のうち、上の部分が青い旗は、エストニアの国旗であるが、この国旗の話をしていて発する可能性がある文である。これは完全五母音文で、しかも、五母音からしかならない極めて特殊な文(「完全五母音完全文」とでも表現できる)と言える。

ちなみに、上の部分のみが青い旗は、日本が認める世界195か国中、エストニアのみで、エストニアではこの青の意味は「空と自由」である。エストニアの国旗は、上から青・黒・白と続く三色旗である。

ついでながら、上が水色で下が白の旗(二色旗となっている)は、ウクライナの国旗である。水色は空、黄色は実った小麦を表すとも、水色は水、木色は火を表すとも言われる。

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注2 これは、会話のネタの頭文字を述べたもので、具体的には、次のようになる。

(i)   タ⇒食べ物 / チ⇒地域 / ツ⇒通勤 / テ⇒天気 / ト⇒富(景気)

ナ⇒名前 / カ⇒体 / ニ⇒ニュース / ハ⇒はやり / イ⇒異性 / レ⇒レジャー

 

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englight
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