公開日:2019年3月2日

ボケとツッコミというのは、日本の漫才における典型的なテクニックであると言えます。この言葉に当たる英語や、ボケとツッコミの英文説明の前に、「ぼける」という言葉の英語について考えてみます。

「ぼける」の英語
「ぼける」でも「耄碌(もうろく)する」という英語は、次のように非常に多く存在します。
go senile; [口語] go dotty; [口語] go gaga; grow senile; become weak-headed with age; become feebleminded with age; be in one’s dotage; one’s mind becomes weak with age

goはマイナスイメージの形容詞が続き、マイナスイメージの表現ができます(go bad [腐る] / go mad [気が狂う]など)。プラスイメージの形容詞はgoではなく、comeと共に用いられる点にも注目(come true / come cleanなど)しましょう。
come cleanの用例
You should come clean about everything. (洗いざらい白状した方がいいよ)

ところで、ちょっとひょうきんな表現に、be in one’s second childhood(2回目の子ども時代にある)があります。
普通に、「頭が働かない」の意味では、it was so hot that I couldn’t think properly.(暑くて頭がぼけてしまったよ)のように、not think properlyがよいでしょう。
ちなみに、「寝ぼける」は、be still half asleep、be half awake、或いはbe not yet quite awakeあたりで表現できます。

日本の漫才における「ぼける」は、耄碌でも寝ぼけでもないので、英語でいうならばjokeやplay the foolぐらいです。ピエロがおどける感じにも似ているので、その場合はplay the clownという表現となります。
簡単には、jokeで良いでしょう。

DMM英会話のサイトでは、ボケとツッコミを、次のように説明しています。
Boke and tsukkomi mean the roles of a Japanese Vaudeville duo or a double act, played by the funny man and his straight-man sidekick.
(ボケとツッコミとは、日本版ボードビル芸人デュオまたはダブルアクトのそれぞれの役割を意味し、ボケ役と相方のツッコミ役があります)
Vaudeville duoとは、2人組みのエンターティナーです。西洋ではもっぱら1人のcomedianが主流なので、2人組の漫才師なら、Vaudeville duoの日本版という表現が分かりやすいかもしれません。
なお、sidekickとは、「相方」に相当します。元来、親友や相棒の意味です。

また、Weblio辞書では、次のように説明しています。
comedy acts focusing on the interactions between a “funny man” and a “straight man”
(ボケとツッコミの間のやりとりに焦点を当てたお笑いの行為)

「突っ込む」の英語
こちらも表現は豊富です。
文字通りの意味で、物を何かに突っ込む場合は、pack/cram/stick/thrust/stuff something into anotherで、例えば、「ポケットに手を突っ込む」はstick one’s hands into one’s pocketとなります。
自分自身が何かに突っ込んでいく場合は、dash/rush/plunge/strike into something。
衝突する場合は、run/ram/bump/crash into somethingやrun/clash against something。
ちなみに、意見が衝突する場合は、crashではなくclashが用いられます(Opinions clashed.[意見が衝突した])。
水に突っ込む場合は、もちろんdive。
首を突っ込む場合は、poke one’s nose into somethingやmeddle/dabble in something。

漫才のツッコミは、首を突っ込むのイメージに近いと思われます。しかし、相手の言ったことに突っ込みを入れる人のことをツッコミというので、a straight man(或いは、sexismを避ける観点から、女性漫才師の突っ込みもあるので、a straight personが更によいでしょう)です。

そして、「ツッコミを入れる」は、次のように説明できると思います。
The act of a straight man butting in a funny man’s joke is called “tsukkomi-wo ireru in Japanese.
(ツッコミがボケのジョークに対し一言入れる行為は、日本語で「ツッコミを入れる」と呼ばれる)
英語では、butt in somethingがぴったりだと思います。

「のりツッコミ」という技法は、次のように説明できるでしょう。
There is another kind of tsukkomi called nori-tsukkomi, in which the straight person does not butt in the funny person’s joke immediately but tries to develop the joke further (before butting in).
(のりツッコミという、別のツッコミがあり、ツッコミがボケのジョークにすぐにツッコミを入れず、(その前に)ジョークに乗っかる[=develop the jokes further]ことを試みることを言う)

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通訳ガイド研究会
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