公開日:2020年4月28日

 

 

 

 

 

お正月の代表的な遊びに羽根突きと凧あげがあります。一般的に、羽根突きは女の子の遊び、 凧あげは男の子の遊びなので、音楽でいう「笛(男性を象徴)と太鼓(女性を象徴)」のよ うな絶妙な組み合わせと言えるでしょう。 

羽根突きは宮廷の神事から発展して室町時代に確立しました。一方、凧あげは、中国より平 安時代には伝わった、凧を占いや戦いの道具として使ったことに端を発する風習とされて います。 

このお正月の遊びは、中国古来の考え方である五行説から説明できるという説があります。 

五行説とは、森羅万象が5つの要素、すなわち、木・火・土・金・水の五行から成っている という考え方です。 

それぞれの要素が相生(ともに生かす)関係と相克(ともに反発する)関係を持っています。 

木は燃えて火を生じ、火は燃え尽きて土を生じ、土の中から金が生じ、金は冷えたら水がそ の表面に生じ、さらに、水は木を育てるので、これらの要素は相生関係です。 

一方、木は金属からできるのこぎりなどで切られ、金属は火に溶かされ、火は水により消さ れ、水は土により汚され、土は木が生えることによりその養分が取られ痩せるとされるので、 これらは相克関係です。 

つまり、「木」を弱めるのは「金」です。だから、「木」を強くするには「金」を弱める必要 があるのです。 

さて、四季のうちの春は「木」に属します。また、四方のうち西は「金」に属します。十二 支で酉は真西に存在しています。このことから、酉すなわち鳥は「金」に属し、「木」に属 する春を弱めることになります。

したがって、鳥(=金)は春(=木)を呼べないと結論づ けることができます。 

ここで、「羽根突き」を考えてみましょう。羽根は鳥の一部で、突く行為は、鳥を弱めるこ とになります。 

だから、羽根突きをすると、鳥が弱まり、「金」が弱まり、「木」が強くなり、結果として春 を呼べるということになるわけです。 

だから、春を呼ぶことが非常に重要なお正月に羽根突きが行われるというわけです。お正月 は「初春」とされるので、お正月そのものが春であるとも言えます。お正月がお正月である ためには、鳥を弱める必要があるというわけです。 

一方、凧あげは、かつて、イカのぼりとも言われていました。タコは元来イカだったという ことになります。江戸時代には、このイカのぼりが流行り、「イカのぼり禁止令」が出たく らいです。 

それでも、江戸の人たちは、イカのぼりを楽しみたくて、これはイカではなくタコだ!と言 ったのが「凧あげ」の語源と言われています。 

ところで、イカはその頭の形、すなわち△で表せます。この△は、インド的発想による宇宙 の構成要素である五大(地・水・火・風・空)の火の形です。 

△は火を暗示するわけですが、五行説では、「火」(イカ)は「金」を溶かすので、「木」(春) を強めることになります。

なぜなら、弱まった「金」は、「木」を切るエネルギーがなくなるからです。 

すなわち、イカのぼりは、春を呼ぶという結論に達します。結果として、凧あげはお正月の 遊びに最適ということになります。 

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通訳ガイド研究会
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